８月２９日（水）

ニューオリンズの空港にたどり着いた私たちはそのまま車を借りてミシシッピ川沿いをドライブした。

ニューオリンズからバトンルージュまでの川沿い一帯には多くのプランテーションが残っている。
１８～１９世紀には綿花やサトウキビの大農園主が競ってこの辺りに豪邸を建てたという。
残念ながらその多くは南北戦争の際に北軍の手によって焼き払われてしまったが、
それでも現在いくつかのプランテーションが保存され観光客相手に公開されている。

車を走らせているとそんな豪邸を車窓からも眺められる。
建物の中はツアーに参加しなければ見られないが、庭や外観だけを見る分には無料。

写真のようにRiver Roadから母屋の正面玄関までは樫の木のアーチが並んでいる。
片側１４本ずつ合計２８本の大きな樫の木。
この木はこのプランテーションが建つ１００年も前からあったものだという。
１８世紀初めにフランス人の開拓者が樫の木を植えてその先に小屋を建てていたそうだ。
その後、このフランス人はこの土地を離れ１７２８年にこの一帯の植民地を
J.J.ロマン氏が買い取ったのだという。

樫の木を抜けると底には映画「風と共に去りぬ」を彷彿させるような白亜の豪邸が・・・

このプランテーションは映画やドラマなどの撮影にも使われたりしてるから
この景色を目にしたこともある人もいるかな？
このRiver Road一帯のプランテーションの中でも１番人気のプランテーション。
観光バスなども乗りつけ、多くの観光客が押し寄せていた。

せっかくだからとツアーに参加すると、私と母はその日最後のツアー。
沢山の観光客はちょうどプランテーションを後にするところで、
ツアーには私と母の２人きり。

「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラ張りの衣装を身にまとったガイドが
館内を案内してくれた。

当時このプランテーションにはHouse Slaveが子供も含めて２０人、
Field Slaveが１００人近くいたといわれる。
Slaveの内訳はアフリカ系の黒人に加えて、ムラートやクレオールと言われる
ヨーロッパ系白人とアフリカ系黒人との混血も多くいたという。

館内を案内してくれたガイドは黒人の２０代の女性。
彼女からこのプランテーションの歴史や生活、そして奴隷についての説明を聞くのは
なんとなく辛い気分がした。

当時は火事を恐れて、キッチンは母屋と別棟に作られていたという。
広大な敷地で働く人たち、生活するプランター。
時刻を知らせるのにはこの鐘が使われたという。
ツアーの開始時間にこの鐘を鳴らしてくれるのだが、敷地内に鳴り響く鐘の音、
当時ここで働いていた人たちにはどのような思いでこの鐘を聞いていたのだろう？？

この写真はダイニング。テープルの上にある機械？のようなものは、
大きなウチワの役割をするものだったという。
紐を引っ張るとゆっくりとこの機械が揺れてウチワ？扇風機？の役割を果たしたらしい。
この紐を食事中、ダイニングルームの隅で引くのは子供の奴隷の役割だったとか・・・

虫が多いこの地域、ベッドも全て天蓋つきのもの。
このベッドの上にある丸太のようなもの、通常はベッドのヘッドボードに付いているもの。
当時のマットレスは、今のようなスプリングのマットレスなどではなく、
この土地に多くあるスパニッシュ・モスをつめていたという。
中には羽根や羽毛などを混ぜていたものもあったらしい。

スパニッシュ・モスとは樫の木にまとわり付く寄生植物。
お化けのような藻？のようなもので、かなり硬い。
この枝のようなものがマットレスの中に詰められているために、
マットレスを包んだシーツからこの枝が飛び出たりしないように、
この丸太棒を使って叩いたり転がしてマットレスをフラットに整えたという。

しかしこの作業にはかなり時間がかかるらしく、当時昼寝の習慣があったこの時代の人たちは、
写真のようなお昼寝用のカウチでお昼寝をしていたという。

２００年ほど前の時代にも関わらず、ダイニングにはイギリス製やフランス製の食器、
マホガニーの家具、ビロードのカーテン、フランス製のシャンデリア・・・

一方で奴隷小屋には簡素なベッドと食卓・・・

その両方を見ると、単純に豪邸を見て「スゴイ～♪」とはしゃげない自分がいた。

Oak Alley Plantation
(225) 265-2151
3645 Highway 18 (Great River Road)
Vacherie, LA 70090
http://www.oakalleyplantation.com/