テンダーを降りるとそこはのどかな漁村風景。匂い、いや臭いも漁村的な磯の香りが漂う・・・
そんなのんびりとした風景を楽しむ間もなくテンダーを降りた瞬間、
明るくしつこいメキシカンのおじさんたちが迫ってくる。
「タクシー?」
「ツアー?」
English OK!」
覚悟はしていたものの、一斉に囲まれるとちょっとすごんでしまう私。
この日はタクシーチャーターに初チャレンジと意気込んでいたものの、
この呼び込みに圧倒されなんだか不安になってきた。
どの運転手さんがいいんだろう?などと吟味したいけど、
一度に7~8人に囲まれたら吟味するどころじゃない。
とにかくその場は無視してまっすぐ歩き進むコヨーテ・ファミリー。
なんとかその集団をかわしホッとしたところに、控えめな若いドライバーが近寄ってきた。
彼はまず自分のライセンスを私に見せて自己紹介。なんだか珍しいくらい礼儀正しい男性。
「希望のところを1時間$25で案内しますがいかがですか?」
英語は独特のスパングリッシュではあるけれど会話は通じそうだし、
直感で「この人なら信頼できそうだ」と感じ、このお兄さんにお願いすることにした。
シワタネホで生まれ育ったという30代のアントニオは2児のパパ。
車に乗ると自分が生まれ育ったこの土地のこと、ここに住む人について夢中で話す。
「華やかな町じゃないけれど、いいところもいっぱいあるんだよ!」
「人はみんな親切で明るいんだ!」
その様子から本当にこの土地を愛しているんだということが伝わってくる。
そして携帯に保存している自分の子供や奥さんの写真を自慢気に見せてくれる。
車を高台に登らせ
「きっとここの景色が一番気に入るんじゃないかな?」
と連れて行ってくれた場所は
私たちの船が見えるポイントだった。
クルーズ客のドライバーをしているうちに、クルーズ客が自分たちの船が見える景色を
喜ぶことを学んだんだよ!と爽やかな笑顔で語る。
ちょっとシャイではあるけれど、子供のように無邪気なアントニオ、
両親も私もすっかり好感を持った・・・
しばらくドライブを続けていると、運転中にも関わらずアントニオは奥さんに電話をし始める。
せっかく良い人だ~と好感を持ち始めたところだったのに・・・
「客を乗せているのに奥さんにラブコールかよ~」
電話を切るなり
「カミさんに今レチューガを用意させてるんだ~。ココはレチューガ大好きなんだよ。
ココにレチューガをあげようと思ってね。だからレチューガを取りにカミさんがいる
マーケットに立ち寄るから」
レチューガって何?ココは人の名前か?
アントニオが何を言っているのか全くわからない私。
そんなことお構いなしにアントニオはまるで子供のようにはしゃいでいる。
私は勝手にココがアントニオの子供の名前、レチューガは子供が欲しがっているものと想像し、
それを奥さんに用意させ、通り道であるマーケットに寄ろうと思っているに違いないと
勝手に解釈した。
マーケットからアントニオは嬉しそうな顔で出てきた。
「ココはレチューガが大好きだから、あとでココにあげに行こう!」
なんだよ~、仕事中に奥さんに会い、しかもこの後に子供のところにも寄ろうというのか?
まったく、やっぱりお調子者のメキシカンだ!などと勝手に思っていたんだけど
アントニオが手にしていたものはレタス、レチューガはスペイン語でレタスのことだった(笑)
レチューガがレタス?
アントニオの子供はレタスが好きなのか?
私の疑問もよそにアントニオは車を走らせ観光案内を続ける・・・
別の高台の絶景ポイントに車を止めると眼下に広がるのはイスタパの町。
イスタパはメキシコ人向けのリゾートとして開発された町。
ホリデーシーズンや週末にはメキシコ・シティなどからたくさんの人が訪れるらしい。
大型のカジノホテルやコンドが立ち並び、シワタネホとは全く違った雰囲気。
「そうだ、イルカに会いに行こう!」
レチューガの次はイルカ?ココはいったいどうした??
突然アントニオはイスタパにあるイルカと泳ぐツアーを開催している場所に私たちを連れて行く。
そこには船のツアー客達が大勢いた。
船のツアーでは確か$100近くしたツアー。
「もしかしてここに連れて来てマージン取る気なのか?」
ちょっとアントニオを疑ってしまう。
「コヨーテ、こっちへ入っておいで!ここは友達がやってるんだよ。
一緒には泳げないけどイルカを調教してる風景を見せてもらえるよ。」
イルカのほかにもオウムを調教しているこの場所、大勢いるツアー客は
ショーの開始まで外で待たされている。
その間をスリルと抜けてイルカのいるプールでしばらく調教風景を見せてもらった。
「次はちょっとお洒落なところに連れて行くね!」
今度はお洒落なレストランが立ち並ぶヨットハーバーへ。
トイレに行きたいとアントニオに伝えると、その一角にある高級そうでお洒落な
フレンチレストランに入っていく。お店はまだ開店前の準備中。
「ここも友達がやっているお店だから~」
どこに行っても友達や知り合いが多いアントニオ。
「生まれ育った土地だから、どこに行っても知り合いばかりで悪いこともできないんだよ」
とニコニコ笑って話す彼。
「じゃあ、次はココに会いに行くよ~!」
ココが一体なんなのか、アントニオに何度聞いても彼の説明が理解できず諦めかけていたとき、
やっとココに会えることになった。
疑惑のココ、レタスが好きなココは一体どんな人なのか?
期待を胸にたどり着いたのは、池のような川のような沼のような場所。
アントニオは嬉しそうにレタスを持って車を降り、川にかかっている橋に向かう。
「コヨーテ、レチューガをココにあげて!ココはレチューガが大好きだから・・・」
するとそこにいたのは
ココの正体はクロコでした!!(クロコがココに聞こえただけだったんですね汗)
野生のクロコがそこら中に寝そべり、しかもそこはココちゃんだけでなくイグアナも
ウジョウジョいる!!
レタスを投げると、イグアナがすさまじい勢いでレタスに群がる。
アントニオは小学生のようにはしゃぎながらクロコとイグアナにレタスを投げている。
疑って悪かったよ、ごめんね、アントニオ!
さてさてクロコとイグアナがお腹を満たしたあとは、私たちのお腹を満たせねば!
アントニオにお願いして、彼の行きつけのメキシカン・レストランへGO!
アントニオの食事代は負担するから一緒に食べようと伝えると、遠慮しながらも付き合ってくれた。
いかにもローカルな雰囲気のお店。
この辺りは牡蠣がとれるということもあって、大好きな生牡蠣を1ダースオーダー。
旅先で生物は厳禁だなんて全く気にしない私。他はアントニオのお薦め料理をオーダー。
魚メインのセビーチェや、ホタテのグリルとシーフード中心にオーダー。
あまりにも美味しくて、そして食べるのに夢中になって写真はなし。
唯一撮った写真はこちらの席に着くなりサーブされるトルティーヤ・チップ。
こちらはコーンではなくフラワー・トルティーヤをあげたものっぽい。
食事をしているとどことともなくマリアッチがやってきて、いかにもメキシカ~ン!
美味しいローカルなメキシコ料理も堪能でき、ココにレチューガもあげられて、
初チャレンジのタクシーチャーターは大成功。アントニオのおかげで、
楽しいイスタパ・シオタネホ観光ができて大満足のコヨーテ・ファミリーだった。
アントニオにツアーをお願いしたい方は・・・
Jose Antonio Valdovinos ArazanIxtapa-Zihuatanejo Taxi:601TEL: +52(755)55 641 77
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