◆ 音楽・食を楽しむアメリカ南部 (Sep. 2007) USA - Tennessee

34. ロレイン・モーテル

水曜日, 9月 05, 2007Coyote


メンフィスで一番行きたかった場所。
それはロレイン・モーテル

メンフィスのダウンタウン外れのちょっと寂しげな場所にあるモーテル。
ノーベル平和賞を受賞し、公民権運動の父とも言われたマーチン・ルーサー・キング・ジュニア
定宿にしていたモーテル。
黒人というだけで、ダウンタウンにあったホテルには泊まれず
この寂れたエリアにある黒人経営のこのモーテルが定宿だったという。

1968年4月3日
メンフィスのゴミ収集業者の組合の待遇改善ストライキをサポートするために
キング牧師はメンフィスにいた。集会でのスピーチを予定していたが体調が優れず
友人の牧師に代理を頼むが、観衆の数とその興奮に友人牧師は代理は出来ないと
休んでいるキング牧師に迎えをやり、キング牧師はアドリブでスピーチを行った。


その時のスピーチがこちら・・・(スピーチの最後の部分です)



We've got some difficult days ahead. 
私たちにはまだまだ困難が待ちうけている

But it doesn't matter with me now. 
でもそんなことは今の私には問題ではない

Because I've been to the mountaintop. 
なぜならば、今私は山の頂きに立ったからだ

And I don't mind. Like anybody, I would like to live a long life.
私も誰もが思うのと同じように長生きをしたい

Longevity has its place. 
長生き、それは確かに意味のあるもの

But I'm not concerned about that now.
しかし今の私はそのことに執着などしていない

I just want to do God's will. 
私はただ神の望むままに行動したい

And He's allowed me to go up to the mountain. 
神は私を山の頂きに行くことを許してくれた

And I've looked over. 
そして私は眺めてみた

And I've seen the promised land. 
そして私は約束の地を見たのだ

I may not get there with you. 
私はみなさんと一緒にその約束の地に行くことはできないかもしれない


But I want you to know tonight, that we, as a people, 
will get to the promisedand. 
しかし私はみなさんに、私たちがかならず約束の地に
たどり着くことができるということを知っておいてもらいたい

And I'm happy, tonight. 
私は今夜幸せだ

I'm not worried about anything. 
私は何も心配はない

I'm not fearing any man. 
私は誰をも恐れてはいない

Mine eyes have seen the glory of the coming of the Lord.
私はこの目で神の栄光の降臨を見たのだ



体調が優れていなかったにも関わらず、このスピーチに全精力を注いだかのように
彼はスピーチの後に後ろの席に倒れこんでいる。


そして翌日の4月4日。

モーテルの部屋でゆっくり側近や同僚と寛いだあと、
夕方から地元の牧師たちのディナーに向かう。

部屋を出たときに側近がコートを取りに一旦部屋に戻る。
モーテルの玄関で佇むキング牧師。
そのとき・・・


迎えのビルから何者かがキング牧師に発砲。
キング牧師は倒れ、救急車で病院に運ばれたが30分後に息を引き取った。



キング牧師が倒れた場所には花輪が飾られ、駐車場には当時迎えに来た友人たちの車が
今も残っている。

あのスピーチがキング牧師の最期のスピーチとなってしまった。
スピーチの内容はまるで自分の死を暗示していたかのようなもの。
彼は本当に何かを感じていたのだろうか?



現在、このモーテルは公民権博物館になっている。
本館に入ると公民権にまつわるビデオを見る。
その後、テープの案内に従いながらキング牧師の軌跡や公民権運動、奴隷制、人種差別などに
関する資料を見てまわる。

この日博物館を訪れていたのは大多数が白人だった。
黒人を差別する白人たちのビデオ、写真、資料を見ながら居たたまれない表情をしている彼等。
キング牧師の有名なスピーチに真剣な表情で耳を傾け泣いている人も多かった。
スピーチのビデオが終わってもしばらくその場から動けない人たちも大勢いた。

資料館からモーテル部分に入ると、そこにはキング牧師が暗殺される前にいた部屋が
当時の状況のまま保存されている。
少し乱れたベッド、飲みかけのコーヒーカップ。タバコの吸殻がいっぱいになった灰皿。
ちょっと前まで本当にキング牧師がいたかのよう・・・


博物館は本館ともうひとつ通りを隔てたところに別館がある。
キング牧師を撃ったとされる犯人が滞在していたビル。
発砲した場所とされるバスルームがそのまま残されている。

犯人は死刑を宣告されたが、死刑執行前に獄中で死んでいる。
しかしこの犯人とキング牧師を結ぶ接点があいまいである。
キング牧師暗殺も、ケネディ元大統領暗殺と同様に犯人は挙げられているものの
陰謀説やなんらかの大きな組織による犯行だとする説もあがっている。


この博物館には残念ながら日本語の案内がない。
入り口でカメラも預けなければならず、館内撮影は一切禁止。


英語がわかればもっといろんなことを感じることができたかもしれない。
公民権運動に関してもっと知識があれば更に学ぶことができたかもしれない。

英語がわかるようになったら必ずもう一度訪れてみたい。


前の日のリトルロック訪問。
公民権運動の中で起きたセントラル・ハイスクールで起きた暴動。
その場所に行き、そしてこの公民権博物館・・・


私と母の公民権運動の歴史を学ぶツアーはまだまだ続く


National Civil Rights Museum
450 Mulberry Street, Memphis 
(901) 521-9699

 


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