この旅行の最中、どうしても腕時計のベルトの調整をしたくてずっとお店を探していたが、
ボストンでは日曜でお店がお休み。
それ以降は郊外の町ばかり訪れ、時計の調整をしてくれるお店を見つけられなかった。
モントリオールぐらいの大きな都市であれば探しているお店が見つかるのではと思い
ホテルにチェックインする際にフロントの女性に聞いてみた。





「あ～、あのお店はつい最近Closeしちゃったんじゃないかしら～」


そう言いながら他のスタッフや若いコンシェルジュに聞きまわってくれた。
何度もネットで検索したのに見つからないワケだ・・・
でも話の様子だと市内にそのブランドの商品を扱っているお店がいくつかある様子。
それぞれのお店を調べてくれたが、あいにく時計を扱っているお店は見つからないかった。

するとベテランらしきコンシェルジュが現れてこう言った。


「市内にそちらの時計を扱っているお店がございますので、
店の者をホテルに寄こしましょうか？」


時計のベルトの調整ごときでお店の人を呼ぶのも気が引けるし、
待っている時間も勿体ないために、せっかくの申し出だったがお断りし、
お店の場所を聞いて自分で出向くことにした。


「でしたらこのカードをお持ちください」


そう言って、ヒルトンのビジネスカードに「ヒルトンのゲスト、コヨーテ様」と書き添え


「お店にはこちらから状況を話しておきますので、お店の方にこちらのカードをお渡しください」

そう言いながらカードを渡してくれた。




紹介されたお店は街の中心部にある Birks というお店。
クラシカルで重厚感ある建物。
入り口の扉には警備兼ドアマンがいてちょっと敷居が高い・・・


「ようこそ、マダム」





お店に入ると高い天井に高級宝飾品が並ぶショーケース。
シーンとした店内はどこか銀座の和光を思い出させる・・・
お客も少ないせいか、店に入ったとたんにスタッフの視線が一斉に集まる。


「いらっしゃいませ、何かお探しですか？」


お決まりの言葉をかけられ、緊張しながらヒルトンで渡されたカードを見せる。


「コヨーテ様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ・・・」


すでに私のことはヒルトンから伝わっていた様子だ。
スタッフに案内されながら私の時計のブランドのコーナーに向かうとそちらでも丁重な態度。
そのブランドの専任担当者が出てきて、すぐに時計のベルトの調整をしてくれた。

お会計は＄１７・・・

たった＄１７の修理でこんなにも丁重な扱いをされてちょっと恥ずかしい・・・



この Birks というお店は高級宝飾品を扱うお店。
Henry Birks という人が１８７９年に小さな宝飾店から始めたお店。
その後、３人の息子と共にお店を大きくし、今あるこの重厚感あるお店が建てられたのは１８９４年だという。


ひょんなきっかけで訪れた高級宝飾店だけれども、こんなにも歴史があるお店で
＄１７程度の修理を頼む旅行客が丁重な対応をしてもらうなんてなんとも貴重な経験。
これもヒルトンのスタッフのおかげ。
ヒルトンには標準価格の３分の１以下の宿泊費で泊まっているお客だというのに・・・


お金をかけていないのになんだかエグゼクティブの気分。
あー、一般庶民はこういうのに慣れていないから、
ついついこんなことで浮き足立ってしまうのである。




Birks
1240 Phillips Square
Montreal, QC H3B 3H4 Canada
+1 514 397 2511
Open Hours10a-6p M-W, 10a-9p Th-F, 9:30a-5p Sa, noon-5p Su
http://www.birks.com/index.asp





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